バリ島のポップスというとオーストラリア人観光客とかがビーチで寝そべって聞き流すバリ式レゲエといったイメージがつきまといますが、これは完全に現地の大衆向けのポップスです。バリ・ガムランや笛の音色もいかにもバリ島ですが、けっこうエレクトリックなサウンドも使われるし、曲によっては快活なダンドゥット調もありと現代的に仕上がったところが秀逸だ。楽曲自体はバリ風情を濃密に発散しており、のんびり悠然としたミディアム・スローが多いせいか、ポップスというよりバリ歌謡といった印象ももたらす１０曲。男女のヴォーカルもじっくりしんみりバリ旋律を歌い込むのがいい感じだ。数あるインドネシアの地方ポップスの中でもやはり特段に異彩を放っています。