1930年代を頂点にギリシャの貧民街で興隆したレベーティカ。トルコからの帰還者が多かったことからイスラムやオリエント音楽の血も受け継ぎ、後の時代のギリシャ歌謡に大きな影響を与えたこのジャンル。現代でもライカなどの歌手が時々レベーティカ曲集を発表しています。これはギリシャが生んだ不世出の大歌手ヨールゴス・ダラｰラスの１９８０年作で、ブズーキ・バンドを基調に時にサントゥール（ペルシア起源でピアノの原型となったと言われる打弦楽器）なども入った深奥なギリシャ古謡をダラーラスが精魂込めて歌う12曲。曲想によって虚ろになったり或いは活力を増したりと、いつになく表情豊かな名唱が聴かれる名作です。