Dewa 19の中心メンバー、アフマド・ダニのプロデュースでデビューした女性3人組Dewi Dewiのメンバーだった人です。個性も感性もまさに類型のない逸材で、グループの中でも断トツに輝いていましたが、わずか１年余でアルバムも１枚きり残しただけで脱退。そして独立後の２０１０年に本作をリリース、しかしこのアルバムが今のところ最新作、つまりこの豊かな才能を持つ女性歌手の歌声が聴けるたった２枚のうちの１枚というわけです。現地ではジャズ歌手と分類されることもありますが、ここで言うジャズとは本来のJAZZとは異なる、９０年代に登場したシーラ・マジッドなどもそう呼ばれていた現代用語のジャズです。腕利きのバンド伴奏に時にホーンズや女性コーラスなど参加、フュージョン、Ｒ＆Ｂ、レゲエ、ロックなどがミクスチャーされたサウンドに、もう一度聴いたら忘れ得ない、しなやかにしぼり出る様な歌声がセクシーで、独特の煉れた節回しの歌唱法で全１０曲。緩めに練られたミディアムスロー・テンポの曲が多く、これがまた彼女の個性を１００％引き出してます。様々なスタイルが存在するポップ・インドネシアですが、こんなにスタイリッシュなアルバムは稀有だと思います。ベンジャミン・Ｓの名曲、Gerimis Ajenoなんかも実に斬新な感覚で仕上がってます。