歴代トルコ・ポップス屈指の名女性歌手の２００２年作。リリースの極めて多い人ですが。当方知る限りこれは最良の一作です。アナトリア風の旋律、アラブ?オリエント調の野趣あるビートなどを現代的にポップ歌謡化した世界、後年のセゼン・アクスらの時代のそれよりももう少しオーセンティックなスタイル、これに６０?７０年代の欧州映画のサントラみたいな哀愁と瑞々しさまで感じられるのが聴きどころ。そしてなんと言っても彼女自身の神々しいまでの歌唱力です。強弱も硬軟も静と動も巧みに表現する豊かな声量による節回し、表情も豊かだし、これは最近の若手歌手には真似のできない奥儀です。