スマトラ島最南端のランプン出身のポップ・インドネシア女性、私の記憶ではソロ・アルバム３枚を出して将来が期待されたにもかかわらず、ここ数年活動状況がわからないのが残念な逸材です。これは2009年リリースの2nd作で、当時新鮮な秀作を数多く放っていたWEAレーベルの制作。シンセ入りのエレキバンドによるカジュアルなサウンドがまず多彩、当時らしいオルタナティヴな要素もありますが、インドネシアらしい爽やかさが実に秀逸なのです。燦燦と輝く様な明快リスミカルな曲調から、都会的なペーソスの哀愁バラード、ちょっとポップ・ムスリム風の哀感も慎ましやかなスローなど、とにかくメロディアスな佳曲揃いで全8曲。クセのない純真可憐な歌声がじつに好感のエレン、男性歌手ロミとのデュエットでの切々とした歌唱が次第に盛り上がる様も印象的です。