フュージョン系でもなくこんなに現代感覚のジャズ・ヴォーカリストがインドネシアにいたとはと驚かれる方も多い筈。しかもシンガー・ソングライターです。中部ジャワ出身とのことですが、名前からして中国系でしょうか。ジャズ好きの父親の影響を受けて育ち、後年にはオーストラリアの名門音楽学校に留学。これは2015年にインドネシアでリリースされたデビュー・アルバムですが、ガーシュウィンの名曲Someone to watch over meを除く6曲は全て彼女の作詞作曲。編成はキーボード、ベース、ドラムスで、名前からしてインドネシア人ジャズ・ミュージシャンかと思いますがいずれもかなりの腕利きです。エレクトリック・ピアノ曲など、一昨年亡くなったチック・コリアを思い出させる洒脱さです。そんな点からも他のインドネシアのジャズの路線とは違った現代性。これをバックに披露されるアメリアの瑞々しいリリシズム溢れる美声がじつに耽美な7曲です。