ちょっとオバマ大統領に似てますが、これは５０?６０年代のタイを代表する名歌手の復刻作。最盛期の３８歳の時に殺害されるという天才破滅型を絵に描いた様な人で、今でも現役歌手たちから尊敬を集める、いわばプンプアンの先輩格の様な偉大な人物です。その彼の代表作がオリジナル・ジャケットでＣＤ化、今では田舎の歌的なイメージの強いルークトゥンですが、スラポンの場合はフルバンド形式の伴奏も多いせいか都会的な雰囲気の曲も多いし、他方、中にはチャチャやラムウォン（タイの盆踊り歌）風、あるいは初代コロムビア・ローズ（ザ・ピーナッツの先輩格的な昭和前半の女性二人組）の昭和２７年の大ヒット「りんごの花は咲いたけど」のカバーもあり（しかも１コーラスは日本語だ）、今のルークトゥンよりもむしろ幅広い作風が味わえる１２曲。どこかしらオールド上海のエキゾチズムにも似たノスタルジーの名唱集です。