ご存知のとおりアラベスクは現在のトルコ歌謡において一大潮流ですが、その多くは大胆にポップ化されたもの。本作は恐らく本来の「アラブ風トルコ歌謡」たるアラベスクの姿を描いたものでしょう。勿論、定評あるKALANレーベルらしく、お堅い民族音楽路線ではなく、泥臭さを昇華して伝統要素を洗練されたアレンジで表現した、風雅で端正な音作り。そして歌うのはこれまでも伝統路線をフェイルーズを力強くした様な魅惑の歌声で斬新に歌って評価の高かったシェヴァル・サム。最近何故かこの人のアルバムが廃盤化されており、本作も遠からず入手不能になると思われます。