今までなかなか入荷しなかったカム・リーの２００９年作です。全般的にザンカーというほど泥臭くないし（中にはそういう曲もありますが）、かと言って今風のポップな路線でもない現代的なベトナム歌謡のアルバム。そこはかとなくあのヴァン・カインらのフエ風情に通じる、ほんわかとして明るくもたおやかな風味がなんとも言えない居心地感。ベテランのイー・ランなんかにもこんな雰囲気の秀作がありました。勿論、哀調の曲や何処かユーモラスでリズミカルなタッチのナンバーや、中国風情の雅やかさ、あるいは男性歌手とのデュエットなどもあり、いずれも得も言われぬ緩やかな空気感。そんな中、彼女の濡れそぼった風の艶っぽい歌声がのびのびと宙を舞う感じか、思わず夢見心地の１０曲です。