すっかり懐メロ路線で人気定着したオーラウィー・サッチャーノンの２０１２年作に、１９６０?７０年代に人気のあった作曲家バイブーン・ブッカン曲集というのがあって、これがじつに名曲揃いで良かったのです。その多くが７０年代初めに人気のあったこの男性歌手の持ち歌でした。そんなつながりで本作入荷、これが最高！。冒頭曲なんてあの６０年代マレーシアの嬉し恥ずかし系なポップ・イェイェのタイ版みたいです。勿論、マレーシア産から発せられるムラユー感覚はここではルークトゥン色に塗り替えられており、カッコ良いんだか悪いんだか判断に困るＧＳ風のバンド・サウンドがこれまた効果的でエグイ。そして後半ではコッテリ濃密な正道ルークトゥンの大攻勢。エスニック風からオーケストラ伴奏まで様々ですが、どれも現代のルークトゥンとはけた違いの深奥さ。大人気を博しながら２０代後半に自動車事故で亡くなった天才肌の個性派です。全１４曲。