ギリシャの伝統音楽を現代化して定評のグループ、イマム・バイルディのリードvo女性のソロ名義デビュー作。彼女自身、大学時代は私学の専攻だったそうですが、なるほど本作も現地での分類はライカになっているものの、実際にはもっと幅広にギリシャの古謡を今に蘇らせた温故知新的なユニーク作です。アコースティック感覚の伴奏にも深い味わいあり、おかしな喩えですが、ダンドゥットとポップ・ムラユーの関係の様な、古色の中に不思議なノスタルジーが感じられて憑りつかれてしまいます。こんなの初めて聴きました。題名のANATOLIとはアナトリアの事でしょうか、なにやら漂ってくる東の方角の香りもエキゾチック。そして彼女の素直で伸びやかな美声がまた魅惑的。可憐さの中にも一本スジが通っていて、たおやかな伴奏との一体感もあり、しかも超美形ですね。通常のディモーティカとも違った秀作でした。