シティのスタジオ録音20作目となる新作。先行配信されていた８曲に加え、更に４曲が追加されてのＣＤ化です。前作に比べて趣向も多彩で、ブダペスト・スコアリング交響楽団の減額入りのミディアム・スロー、エレクトリック多用でビートを効かせたポップ・チューン、マレー歌謡独特の哀愁からムラユー調などエスニックな側面もあり、いわば彼女の歌手としての集大成と言える豪華な構成。そして全編に漂う気品が普通じゃありません。欧米の歌手などは思い切りシャウトでもしそうな高揚した場面でも、ここでの彼女は絶妙にコントロールされた発声や節回しでいなしてしまうアジアの歌ごころが素晴らしい。デビュー当時から定評のあった歌唱力が今なお向上しているのは立派です。ジャンルを問わず近年の女性ヴォーカル作としても最高レベルの内容だと思います。がしかし、この高値とこのジャケットのデザインはいかがなものか、ですよね。