数え切れないほど沢山のアルバムがあるヘティ・クス・エンダンのクロンチョン作の中で、これは最もベーシックな一枚と評価の高かった廃盤作。曲目表をご覧になれば分かるとおり、「ブンガワン・ソロ」「キチル・キチル」「サプ・タンガン」「ジャリ・ジャリ」「ダユン・サンパン」などクロンチョンの超有名曲がずらり、しかもジャワ、ジャカルタ、バリ島などインドネシアの様々な地方の歌曲が入っており、国民音楽と呼ばれるクロンチョンを広範囲に捉えた選曲。一般的にポップ・クロンチョン（電気楽器や弦楽なども入り、ポップ・インドネシアなど他ジャンルの曲を取り上げる事も多い）とクロンチョン・アスリ（ASLIとは伝統的とか純正などの意）に大きく分類されるこのジャンルですが、本作は題名の通り後者です。でも伝統スタイルべったりではなく、クロンチョンのバンドリーダーとして６０年代から名を馳せたブディマンＢＪ氏の音楽監修による秀逸なアレンジも聴かせどころです。録音データが不明なのですが、恐らく80年代後半くらいか、今よりも透明度高く可憐なヘティの歌声も素敵です。