今では地方ダンドゥットと言えば東ジャワの天下ですが、今から１０?１５年ほど前はチルボンの大ブームでした。その西ジャワの東端に位置するチルボン地方には、ギターとスリンをフィーチュアしたタルリン、それがダンドゥットに発展したタルリン・ダンドゥット、そうした形式にこだわらないチルボン・ダンドゥットなど様々な大衆音楽がありますが、共通して聞かれるのが、奇妙な哀愁を帯びたメロディ・ライン。本作はそんなチルボン・ダンドゥットの思いのほか元気な姿を伝えてくれる２０１３年作。ブームの頃はお手軽な打ち込みビートに食傷気味になりましたが、ここでは打ち込みと手打ちの混合が中心で、これが奏効してなんとも重量感のあるビート展開、これにノイジーなギターやキーボードが加勢して凄い迫力。それに負けない威風堂々の女性VO、ぐっとタメを効かせてファンキーですらある独特のグルーヴ満載の９曲。正直チルボンを聴くのはかなり久々でしたが、予想を遥かに上回る迫真の一作です。